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2018.05.30コラム
ピリオダイゼーションのバリエーション

ピリオダイゼーションのバリエーション

【ピリオダイゼーションのバリエーション】

 

― 量と強度の変動パターン ―

 

◆リニア- vs ピリオダイゼーション

 トレーニングの強度と量にバリエーション持たせて、日ごとあるいは週ごとに変動させていくというピリオダイゼーションを用いたストレングストレーニングの効果に関する実証的研究があります。そのほとんどは、12週間以下のメゾサイクルレベルでのプログラムを扱っています。そして、ピリオダイゼーションを用いない、いわゆる「リニア-モデル」と呼ばれるプログラムとの比較を行っています。

 リニア-モデルとは、量と強度をプログラムの全期間にわたって変化させず、例えば6RM×5セットとか80%で6回を4セットというように、選手(被験者)に提示するプログラムの強度と量を一定にしたまま、トレーニングを進めていく方法です。

それに対してピリオダイゼーションを用いたプログラムは、最初の4週間は、10RM×5セット、次の4週間は、5RM×5セット、その次の4週間は、3FM×3セットというように、使用する重量とレップ数およびセット数に示される強度と量に対して一定の変化をトレーニングの全期間にわたって持たせていく方法です。

 これらの研究の結果、ほとんどすべての報告において、ピリオダイゼーションを用いたプログラムのほうが、最大筋力、パワー、除脂肪体重等の増加率においてリニア-モデルによるよりも有意に大きな向上率を示しています。

 

◆変化 VS 総レップ数と平均強度

 しかし、近年、この研究結果は、ピリオダイゼーションの強度と量を変化させるというプログラムの構造的特性にあるのではなく、トレーニング期間全体においてどれだけの総レップ数をこなしたのかというトレーニングの量がただ単に多かっただけ、あるいは、トレーニング期間全体を通じた平均使用重量に示される強度が大きかっただけではないかという問題が提起されました(Baker,  et al.,1994)。そして、トレーニング期間全体を通じた総レップ数と平均強度が等しくなるようにコントロールした実験では、ピリオダイゼーション群とリニア-群との間のトレーニング効果には差がないという結果が報告されたのです。

ところが、この問題に対して、過去の研究結果の再検討も含めて最近新たな研究がいくつか行われ、単なる量や強度ではなく、やはり、トレーニングプログラムにおける変化が重要なのだと主張されています(Stone , et al.,  1999)。

 

◆少ない量で効果を得る 

 わずか7週間のトレーニング実験(Stowers, et al., 1983)の再検討からもこのことは明確です。週2回のスクワットを、最初の2週間は10RM×5セット、次の3週間は5RM×3セット+高速10RM×1セット、そして最後の2週間は3RM×3セット+高速5RM×1セットというピリオダイゼーション群が、7週間を通して10~12レップで上がらなくなるまで行うセットを1セットのみ行うリニア-群とそれを3セット行うリニア-群とで比較されました。総レップ数はこの場合、リニア-の3セット群が462回で最も多くなりますが、1RMスクワットの向上率では、総レップ数426回のピリオダイゼーション群が31%で、3セットリニア-群の23%や1セットリニア-群の17%よりも有意に大きな向上率を示しました。

 

◆周期的変動と週内変動

  さらに、量よりも変化、しかも変化の質が重要であることを示した研究結果も提出されています(Stone, et al., 1997)。

 3つのグループで、スクワットを週2回、12週間にわたってトレーニングした実験で、リニアー群は6RM×5セットを12週間にわたってトレーニングし、ピリオダイゼーション群Aは10RM×5セットを最初の4週間、次の4週間は5RM×5セット、最後の4週間は3RM×3セットでおこないました。もうひとつのピリオダイゼーション群Bは、ほぼ2週間ごとに10RMと5FMと3FMがそれぞれセット数も変えながら周期的に変動するようなプログラムが組まれました。このグループでは、さらに、ひとつの週の中でも、第2日目の強度は第1日目よりも15%軽くなるよう強度の変化が設定されました。

 総レップ数はリニア-群が720回、ピリオダイゼーション群Aが732回でほぼ同じでしたが、ピリオダイゼーション群Bでは、わずか590回でした。トレーニング効果は、ピリオダイゼーション群B > ピリオダイゼーションA > リニアー群となりました。

 1セットごとの平均レップ数は、リニアー群が6回、ピリオダイゼーション群Aが6.6回、ピリオダイゼーション群Bは5.2回で、実際に使用された相対強度の平均値は、トレーニング前の1RMに対する割合で言うと、それぞれ、67%,61%,72%でピリオダイゼーション群Bがトレーニング期間中に順調に使用重量を上げていた事実を見ることができます。

 このピリオダイゼーション群Bのようなモデルは、「オーバーリーチングモデル」(Stone, et al.,1999)、「波動モデル」(Poliquin,1988)、「ハーフメゾサイクル」(Zatsiorsky, 1995)、「ノンリニア-ピリオダイゼーションモデル」(Fleck & Kraemer, 1988)とよばれており、単調さからくる不適応や、オーバートレーニングを避けるとともに、より質の高い負荷を繰り返してかける事によって、より高度な適応を引き出していこうとするものす。

 たとえ2~3ヶ月程度の短期間のトレーニングであっても有効であるとする説や結果が示されつつあります。