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2018.05.30コラム
第5章低速動作でもRFDは重要。

スピード筋力トレーニングガイド:低速動作でもRFDは重要

第5章 低速動作でもRFDは重要。

 RFDはアイソメトリック筋活動でも重要となります。瞬間的にバットを握り締める握力の発揮やスクラムでの押しなどはその例です。柔道やレスリングでもアイソメトリックRFDは相手の力と拮抗してどちらにも動きがない状態から素早い力を発揮するために必要となります。

 また、すごく重いものに対して力を発揮する時にはいくら速く筋力を立ち上げて素早くそれを動かそうとしても実際には極めて遅くにしか動きません。しかしそこでは意図的にゆっくりと動かしているのではなく、可能な限り素早く力を立ち上げるための最大努力が行われているのが特徴です。

 

 例えば1RMの90%でトレーニングをするとしたら、ウエイトをいくら高速で動かそうとしても見かけ上はそんなに速く持ち上げることはできません。

 意図的にわざとゆっくり上げたり、スピードを意識せず「普通に」上げている場合とではそれほど差がないように見えます。

 しかし速く上げようと意識してトレーニングしている時とわざとゆっくりトレーニングしている時とでは、筋活動を生じさせている神経系の働きはかなり異なります。モーターユニットの動員数、動員される筋線維タイプ、インパルスの発火頻度、活動の同期化の程度にあきらかな違いが生じるのです。

 したがってRFDを向上させるためには、トレーニング動作の意識をできるだけ素早く動かすことに向ける方がいいのです。

 ところが、実際にどれだけ動作速度に客観的な差があるかは目で見ただけではなかなか判断できません。また素早く力を立ち上げてウエイトを速く動かそうと意識していても、ちょっとした気のゆるみや疲労によりすぐに速度は低下してしまいます。

 この時、実際のRFDや客観的な動作速度が1レップごとにリアルタイムでトレーニングを行っている選手にフィードバックされれば、気のゆるみや疲労による動作速度の低下に歯止めをかけ質の高いトレーニングを行うことが可能になります。

 動作の後半に意図的に力を抜いて減速してしまわない限り、RFDと動作の平均速度はほぼ一定の関係にあります。ですから動作速度がわかればRFDもわかります。