第2章 フィットロダイン®が可能にする継続的なスピードとパワーのモニター。 | S&Cスポーツ科学計測テクノロジー スポーツパフォーマンス分析

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2018.05.30コラム
第2章 フィットロダイン®が可能にする継続的なスピードとパワーのモニター。

スピード筋力トレーニングガイド:フィットロダインが可能にする継続的なスピードとパワーのモニター

第2章 フィットロダイン®が可能にする継続的なスピードとパワーのモニター。

 もっと簡単に普段のトレーニング現場ですぐにRFDや動作スピードや発揮したパワーを測定する方法はないのでしょうか。現場で日常的に選手の爆発的筋力を知ることができれば、もっと効率の高いピンポイントのトレーニングができるようになり、選手のモチベーションもうんと高まるはずです。フィットロダイン®という装置はこのような疑問を一気に解決してくれます。バッグの中に入ってしまうサイズのセンサーとモニター部からなるこの装置は東ヨーロッパのスロバキアで開発されました。

 スロバキアはチェコスロバキアから1993年に分離独立した人口536万人の小さな国ですが、女子テニスのヒンギス選手の出身地としても知られ、現在アイスホッケーの世界チャンピオンでもあるスポーツの非常に盛んな国です。フィットロダイン®の開発当初はスロバキア国内とチェコやオーストリアやハンガリーと行った近隣諸国のナショナルコーチにしか知られていませんでした。

 しかし、近年ストレングストレーニングに関する国際的な情報交換が加速化するにともない、爆発的筋力トレーニングにおけるスピードとパワーの日常的な測定とモニターの重要性を認識した世界のコーチや研究者の注目を集めています。2003年7月にインディアナポリスで行われたNSCAカンファレンスにおいてもフィットロダインを使った実践的な研究がいくつも報告されています。

 

フィットロダイン®の特徴は何といってもその簡便さにあります。

 

(1)速度の測定と表示

 センサーとモニター部をケーブルでつなぎ、ストラップを普段使っているバーベルやマシーンに引っ掛けるだけで、後は爆発的なトレーニング動作を行うだけで自動的に動作速度(m/秒)をリアルタイムで表示してくれます。

 精度は4ミリの移動距離の変化を0.25ミリ秒間隔で捉えます。測定誤差範囲は±1%以内です。人間のトレーニング動作の速度を測定する上で十分な精度です。

 

(2)パワーの計算と表示

 スピードを測定する前にトレーニングや測定で使用するウエイトの重量(kg)を入力しておくと、重力加速度(9.8m/秒/秒)をその重量に掛けて力(N)を計算し、その値に速度を掛けてパワー(Watt)が計算されます。これもリアルタイムで表示されます。

 

(3)パーセントの計算と表示

 さらに、スピードとパワーの最大値が出るとその値を100として記憶し、それ以降に出た値がその何パーセント当たるかを計算してパーセント表示してくれます。最初の最大値よりも大きな値が出るとその値を新たに100として計算していきます。この機能は、そのセットで出した最大スピードや最大パワーの何パーセントがでているかを知りたい時に使うと有効です。




(4)パーセント表示の利用法

 選手が疲れてしまって速度が低下した状態で、ただ疲れさせるだけの無駄な反復をさせたくない場合に、パーセント表示機能をうまく活用することができます。

 また選手の最大スピードや最大パワーが何回の反復で何パーセント低下するかというテストにより、筋線維タイプの割合を推定することもできます。

 パーセント値の上限と下限をあらかじめセットしておくと、何パーセント以上出ているか、あるいは何パーセント以下に低下したかをトレーニングや測定中にビープ音で知らせてくれます。

 

(5)メモリー機能

 数値はすべてリアルタイムで表示されますが、何回か反復した後でもう一度最初から確認したい時もあります。その場合はメモリー機能がついていますから最初から1回ごとのスピードとパワーとパーセントを再生して最大値を確認したり、変化をノートに記録するとよいでしょう。

 

(6)可動範囲のカットオフ

 クリーンでは、最初はゆっくりと床からバーベルを持ち上げて行き、膝を過ぎてから一気に加速させます。このように、最初に遅い動作部分があり、その後で素早い動作部分が連続するようなエクササイズでは、動作後半の高速部分だけのスピードとパワーを知りたくなるかもしれません。

 フィットロダインLED®には、可動範囲のカットオフ機能がついており、バーベルやマシンのグリップ部などの測定部位が、あらかじめ設定した距離を移動するまではスピードの測定を開始しません。その距離に到達した瞬間から測定を開始します。可動範囲後半の高速動作の部分だけで発揮されているスピードやパワーを知りたい時はこの機能を上手く活用するといいでしょう。

 以上のような機能をうまく活用することによって、大学や研究所の高価なアイソキネティック装置がなくても、いやそれ以上のことをトレーニングの現場でいつでもフリーウエイトや通常のトレーニングマシーンを使って納得いくまでコーチ自身の手で試すことができるのです。

 

(7)フィットロダイン®のラインアップ

 フィットロダインベーシック®とフィットロダインLED®で測定されるスピードとパワーは動作範囲の平均値ですが、さらにコンピュータと接続して使用するフィットロダイン®の最上位機種、フィットロダインプレミアム®を用いれば、瞬間の位置、速度、加速度、力そしてパワーを測定することができます。そして、10ミリ秒(0.01秒)ごとの値がデジタルで表示されます。

 測定結果はグラフ上で分析でき、デジタル情報はエクセル等で加工することも可能です。これにより瞬間的なスピードやパワーそしてRFDを知ることもできます。

 この機種はスピード筋力のトレーニングをさらに詳しく分析したい実践的研究者向きといえるでしょう。