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2018.05.30コラム
筋肥大トレーニング・ボディビルディングにおけるPUSH活用法

筋肥大トレーニング及びボディビルディングにおける『PUSH』活用方法

本ブログの内容はPUSHのホームページからの抜粋です。




効果的な筋肥大を起こすためのトレーニング方法については、様々な議論が錯綜しています。

例えば、可動域をどうするか、レストタイムはどうすべきか、どの程度の筋疲労が必要か、あるいはスーパーセット法、コンパウンド法どれがよいのか等々。ここでは一旦それらの概念を脇においてください。

トレーニングの伝統的な考え方は多岐にわたりますが、筋肥大を目的としたレジスタンストレーニングのプログラムに欠かせないトレーニング変数として【トレーニングの量(Volume)】があります。

筋肥大にとって、その他のトレーニング変数を考慮しなくても良いというわけではありませんが、このトレーニングの量こそがもっとも重要だと考えられます。

 

 その証拠に、筋肥大を目的としたトレーニングに関するほとんど全てと言っていい研究において、研究者は常にトレーニングの量を操作しています。セット数、レップ数、負荷の大きさ、筋緊張時間の長さ、エクササイズの数、エクササイズのタイプ、これらをどのように組み合わせ、どのようにコントロールすれば最も効率よく筋肉を肥大させることができるかについて研究しているのです。これらの要素は全てトレーニングの量に関するものばかりなのです。

 

では、トレーニングの量をいかにデータ化し、コントロールするべきかについて検討する前に、筋肉が肥大するために必要なメカニズムについて見てみましょう。



Schoenfieldによる最新のレビューによれば、筋肉の肥大を促すためのルールは次の3つに集約することが可能です。

 

1-機械的張力によるストレス

トレーニングに対する筋肉の適応を引き出すための十分な刺激あるいは負荷があること。

ある程度トレーニング経験のある人なら、自体重のスクワットは【サイズの原理】から考えても刺激が十分でないことはわかるはずです。

 

2-代謝ストレス

代謝産物の蓄積 (乳酸、水素イオン、無機リン酸塩等々)によって誘発されるタンパク同化作用が筋肉の成長のためには必要です。

ボディビルトレーニングにおけるオールアウト(つぶれる)まで追い込むというのがその一例です。

 

3-筋損傷

これは、筋組織がダメージを受けることを意味します。この作用はトレーニングした部位に対して局所的に起こります。例えばベンチプレスをしたら胸筋群に作用する、というようにです。

 

これら3つの条件は、常に同時に追求されなければならないというわけではありません。例えばボディービルダーはよくオールアウトまで追い込むトレーニングを行っています。これは目的とする筋肉に対する代謝ストレスを高める事により、その筋肉を肥大させるために必要な内分泌環境を作り出していることになります。

また一方でパワーリフターはどうでしょう?彼らも決して小さくはありません。パワーリフターは非常に重い負荷を用いてトレーニングします。それにより機械的ストレスが増加し、このこともまた筋肉の肥大を生み出します。そしてこの筋肥大に作用する2種類のメカニズムは、どちらも3つ目のメカニズム、つまり筋線維の損傷という作用を引き起こします。このように、これら3つのメカニズムは決してお互いに排除し合うわけではないのです。

 

それでは、どうすればこれらのメカニズムを十分に作用させるためのトレーニング量というものを数値によってコントロールできるかについて見ていきましょう。

 

 

No1. TIME UNDER TENSION(TUT): 筋肉が緊張している状態(時間)の長さ

 

今までにきちんとしたトレーナーから筋肥大プログラムを指導されたことがある方ならば、トレーニングのテンポに気をつけるように指導され経験をお持ちだと思います。もし経験されたことがないのであれば、今すぐにでもテンポを守るトレーニングに取り組むべきでしょう。

 

例えば、3:1:2:1…というテンポをお聞きなったことはありませんか?

これは、4つの数字によって、1レップを次の4つのフェーズに意識的に区別して実行しようということを表しています。

1つ目の数字はエクセントリック局面またの名をダウンフェーズ、

ボディビル界ではよくネガティブとして知られています。これを例えば3秒でゆっくりと降ろします。

 

2つ目の数字はアイソメトリック局面です。ここでは筋肉の長さは変化しません。例えばスクワットのボトムポジションで静止するなどがその一例です。

 

3つ目の数字はコンセントリック局面です。この局面は挙上動作でいうと押し上げる区間のことを言います。

 

4つ目の数字、この局面は前のレップと次のレップの間、ベンチプレスで例をあげるとトップポジションのことを言います。


現在まで、どの程度のTUTが筋肥大に最適なのかを明確に示した研究はありません。ある研究によると0.5秒から8秒までの極めて大きな幅が示されています。これでは誤差が大きすぎますが、TUTが有効であることには間違いがありません。 

PUSH ポータルからエクスポートした図1を御覧ください。

 

これはスモウ・デッドリフトの例ですが、DAY2のTUTがDAY1よりも長いことがわかります。どちらのトレーニングもセット数とレップ数は同じでした。しかしDAY2のほうが明らかにTUTの値が大きくなっています。その理由は図2に示されています。つまり、DAY2に挙上重量が増したために、各レップのエクセントリック局面が長くなり、そのことが全体としてのTUTの延長につながったというわけです。

図2



この事実から次のことが示唆されます。

第1に、長期間同じ重量でトレーニングを継続するのであれば、リフティングのテンポに留意すべきであるということです。でなければ遅かれ早かれ停滞期が訪れます。

第2に、同じテンポでのトレーニングを行うのであれば、単純に重量そしてセット数、レップ数を増加させることです。それによってTUTが増加します。

いずれにせよ、TUTは、ボディービルダーにとって極めて重要な数値となり得ます。なぜならボディビルディングは、個々の筋群に対して詳細で繊細な注意を払ってトレーニングすることが不可欠であり、それによってコンテストで1位になるか3位に終わるかが決まってしまうスポーツだからです。

 

 No.2

TOTAL TONNAGE:総挙上重量

 

トレーニングの負荷をモニタリングする方法として、従来から総挙上重量というものが重視されてきました。それには十分な理由があります。ウェイトを増やせばそれだけ身体に対する刺激をかけ続けることができるからです。そしてこのことは、筋肉を肥大させるための第1の基本的メカニズムとして説明した機械的張力によるストレスを増大することに当てはまります。そしてさらにストレスをかけ続けることにより、組織のダメージを作り出すことにもつながってきます(第3のメカニズム)。

 

では、この総挙上重量はどうやって計算するのでしょうか?この計算は面倒なのでは、という心配には及びません。PUSHアプリもPUSHポータル(※サポート準備中)も自動的にこの計算をやってくれます。図3は、PUSHポータルで得たデータをエクセルにエクスポートしたものから作成したグラフです。

 


このグラフから、DAY1とDAY2を比べると大きな差があることがわかります。この大きな差は、負荷を10%増加したのに加えて、セット数を増やしたことによってももたらされました。最初は4セットでしたが、次のセッションでは5セット実施したのです。負荷重量を増やすことは量を増大させる上で確かにベストな方法だと言えます。しかし、それはいつかもうそれ以上重量を増やすことが不可能だという壁にぶつかります。では壁にぶつかった後、どうすれば良いのでしょうか?

 

他のトレーニング変数を操作すればいいのです!

その一つがセット数です。セット数を増やすことによって量をさらに増加させていくことができます。最近行われた研究(Radaelliら、2015)によると、5セットで実施されたトレーニングによって、1セットや3セットのトレーニングよりも大きな筋肥大効果が得られたことが示されています。さらにこの研究で興味深いのは、どのグループもこの6ヶ月間のトレーニング期間における筋力の向上率には差がなかったにもかかわらず、筋肥大効果にはこのようなセット数による差があったということです。つまり、筋力に比べて筋肉のサイズという点では、より多くのセット数をこなすことがより大きな効果を示すと言えそうです。

 

トレーニングによって筋が肥大し、肩幅が増加すればするだけ、総挙上重量という数値をもとにさらにトレーニング量を増やしていくことは、長期間のトレーニングを計画していく上で極めて有効だと言えるのではないでしょうか?

 

No3.TOTAL WORK:総仕事量

 

総仕事量という変数についてはこれまでほとんど研究されていません。その理由はこの変数を正確に計算するためには力学に対する深い理解が必要でることと、総仕事量を測定することは歴史的にみても研究室レベルでのみ行われてきたからだと思われます。

しかしこれまで、この総仕事量という変数を重視してこなかったことは大きな問題であると言わざるを得ません。なぜなら、上で説明した総挙上重量が単に外部抵抗の質量のみを反映しているのに対して、総仕事量は発揮した力を問題にし、そのエクセントリック成分をも考慮することができるからです。エクセントリック成分は、筋力を発揮する際の重要な側面を担っており、その結果、筋ダメージとも強く関連しています。Scnoenfeldらが2015年に発表したレビュー論文においても、エクセントリック成分は筋肉の肥大にとって大きな影響を持つことが示されています。

 

PUSHを用いてトレーニングすることで、総仕事量は簡単に知ることができます。さまざまな使い方がありますが、一つはトレーニング中にアプリでその日の仕事量をチェックし、過去のトレーニングセッションのデータと比較することにより、新たな記録に挑戦するという方法、もう一つはトレーニングが終わってから、仕事量の変化をじっくりと調べるという方法です。



では図4をご確認ください。私が行ったオーバーヘッドプレスのトレーニング例です。

DAY2のトレーニングを終える前のトレーニング目標はトレーニング量を増加させることでした。しかしこの日、私はワークアウト中にデータをモニターしていませんでした。私はトレーニング量を増やそうとして、全体の負荷を10%増加させました。しかし実際にはそうならなかったのです。

どうしてでしょう?負荷をより重くしたうえで、同じ5セット実施しました。しかし、個々のセットにおけるレップ数が低下してしまっていたのです。重すぎて同じレップ数をこなすことができなかったのです。

私の作戦ミスでした。負荷の増加は5%にとどめて、前回と同じレップとセットでトレーニングするべきだったのです。

▼図4



あなたが立案したトレーニングプログラムをじっくりとよく再考してみてください。目的通りにトレーニング効果を得ているでしょうか?それともプラトーに達した状態でしょうか?もしプラトーにぶち当たっていたとしても、その解決策は想像しているよりも簡単かもしれません。

少しデータをモニターして、トレーニングの量が増えているかどうか、週単位、月単位、年単位でチェックしていけばいいのです。

 

重要なことは、骨格筋のサイズや筋力は一直線に増加していくものではないということです。

ある日のトレーニングの量は他の日よりも減少するかもしれません。ある週のトレーニング量が別の週のトレーニング量よりも少ないということも起こるでしょう。それはまた月単位でもありうることです。しかし、もっと長期的に見れば、多くのエリートリフターがそうであるように、トレーニング量は必ず増大させていかねければなりません。それなくして真のトレーニング効果は絶対に得られないのです。

 

トレーニングの目的が筋肥大させることにあろうがなかろうが、データをとり、それを追跡するということなしには何も知ることはできません。とても簡単な理屈だと思いませんか?

 

REFERENCES(参考文献)

 

Radeallit et al. Dose-Response of 1, 3 and 5 sets of Resistance Exercise on Strength, Local Mucular Endurance and Hypertrophy. J Strength & Cond Res 2015.

Schoenfeld. Effect of Rep Duration During Resistance Training on Muscle Hypertrophy: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med 2015.

Schoenfeld. The Mechanisms of Muscle Hypertrophy and thier Application to Resistance Training. J Strength& Cond Research 2010. 

 

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